2017.08.14
乾いた風景から
こんにちは!jardin nostalgiqueの青江です。
お店は夏季休暇中。
先日までは、北海道へ旅行に行っておりました。
函館・札幌・旭川・美瑛・富良野・帯広を巡り、
特に、旭川~帯広のガーデン街道においては、
様々に趣向を凝らして、コンセプトの違うガーデンを満喫しました。
それぞれの場所で、美しい風景、深い歴史、おいしいものに出会い、
たくさんの刺激・思い出と、2~3キロの体重をつれて帰りました(笑)。
日本の旅行は海外とはまた違う、心底のんびりするような良さがあり、
食に関しても恐れ知らず。。。
帰ってからは、普段なかなか読めない本を読んだり、
音楽を聞いたりしつつも、
時にパソコンに向かって、秋以降のお店の計画にとりかかりつつあります。
今日はコラムを書こうっ!
早速、北海道の旅の思い出を...とも思ったのですが、
まずは前回に引き続き過去の旅行の思い出を書こうと思います。
自分にとって、とても大きな変化になった風景の話です。
3年前、2014年のフランス滞在では、共同経営の加藤のかねてよりの希望で、
プロヴァンス地方へ滞在しました。
滞在期間中は、自分がフランス留学時代に研修させていただいた
お店のオーナー、フレデリック ギャリーグさんのお宅で宿泊させていただくことに。
強い日差しですが乾いているので、風が吹くと心地よく、
太陽をたくさん浴びた野菜はとてもおいしく、毎食の食卓に。
滞在中、身近な自然から花やハーブを収穫して来よう!ということで、
フレデリックがいつも散策する場所へ連れて行っていただきました。
車は街を抜けて、いつの間にか何もない荒野に。
荒れた山道を車で突き進みます。
後方に乗ったjardin nostalgiqueメンバー3人は
あまりに想像と違うハードな山道にびっくりしっぱなし。
到着した場所は、強い風が吹き、
土や岩、枯れた枝、乾燥に強い植物たちが一面に広がる、
とても乾いた印象の山頂。
そこでみんな自由に散策して、好みの花、枝を収穫したのでした。
自由に散策とはいえ、はぐれたら最後な状況なので、
みんなくっついていました(笑)。
が、目を離すとフレデリックはいつの間にか先に(笑)。
岩の間から力強く育つ草があったり、
一般的な山の風景とは違って、明るいブラウンが主体の風景に、
とても感動したのでした。
帰りには、珍しい幹のオリーブ。
一度、とても寒い冬に凍った主幹が枯れて、
その脇の地中から出てきた枝たちが大きく育ったのだそうです。
収穫した枝をトランクに詰め込んで。。。
帰ったら早速、収穫したローズマリーを使っての晩御飯。
あっという間の時間でしたが、
この経験から、自然の風景をイメージした作品の表現として、
瑞々しくてフレッシュなもの・季節感のあるもの、だけではなく、
乾いた印象で荒々しいものも素敵だなーと思うようになり、
今はそれがとても好きになっています。
それまでは使わなかったどこかかさかさしているスターチスや、
ネイティブと言われる南半球の、少し固い印象の花を使うようになったのも、
この経験の影響です。
その後、自分が好んでいるブーケの雰囲気として、「ボヘミアン」というのがあるのですが、
ファッションなどではメジャーな、フォークロアとか、ボヘミアンという雰囲気をブーケにしてみたものです。
どこか乾いていて、民族的な柄感があるブーケ。
こんな発想も、あの風景から出てきたものです。
そんなこんな、プロヴァンスの旅で得たものはとても大きく、
フレデリックへの感謝はとても大きいものでした。
翌年には、フレデリックが来日するとのことで、
ぜひぜひ恩返しにと、jardin nostalgiqueでレッスンも開催しました。
テーマは、ロマンチックなブーケと、シャンペトルブーケの2種のブーケレッスンでしたが、
ロマンチックやシャンペトルという要素は、まさにフレデリックならでは。
自然という雰囲気プラス、かわいらしさ、素朴さ、ロマンチックさがはいるのが
フレデリックらしさかなと自分は勝手に思っています。
自分はそれが大好きで、フレデリックのお店に何度も研修をお願いしに行きました。
5回くらいお願いした時にようやくOKいただいた時の嬉しくてわくわくする気持ちは、
今でも覚えています。
フレデリックには本当に多くのことを学ばせてもらい、
自分の今のブーケの好み、お店の雰囲気づくりなどにおいて、核を作ってくれました。
昨年のフランス旅行の際も一緒にお食事して、
今年にはまた来日レッスンを、という話で盛り上がっていたのですが、
今年の2月、急な事故でフレデリックはこの世を去ってしまいました。
あまりにも急で、とてもショックな出来事だったのですが、
今は、フレデリックから学んだことをこの先も活かしていくことが
自分ができる恩返しかなと思っています。
自分のフィルターを通したものになりますが、
みなさんにフレデリックの花のことを知ってもらえると嬉しいなと思います。
亡くなる直前にフレデリックが出版した本がありまして、
とっても素敵な一冊ですので、今後はお店に置いておくことにしますね。
ぜひ、多くの方にご覧いただけると嬉しいです。
タイトルとは違って、フレデリックとの思い出めぐりのようになった今回のコラムですが、
ゆっくり思い出しながら書ける、この夏休みというタイミングで
ぜひ皆様に、と思いしたためてみました。