2023.02.19
今年も開催! 5つの宝石のブーケ
こんにちは!jardin nostalgiqueの青江です。
2月ももう後半。
先週末などは桜が咲く頃のような陽気で、
春ももうそこまで来ている予感にわくわくしつつ、
お店の中でもふわふわ、伸び伸びと今まで以上のスピードで咲き進む
春の球根植物達には、花屋さんとしてちょっとドキドキする今日この頃です。
毎年1~2月は少しのんびりしたペースで過ごすことができるシーズン。
コロナ禍の前はこの時期、
年末は慌ただしくて出来ない忘年会の代わりに
新年会と称して毎週いろいろな花仲間、お友達と飲んでいたように思います。
コロナ後は心配性な自分のせいでずいぶんと飲み会を遠慮しており、
付き合いの悪いノスタルジックになりつつありますが、
来年あたりはきっと復活!!?するはずです!
市場もこの時期はとても落ち着いていて、
特に水曜日などは静寂にびっくりすることがあります。
市場に向かう道中、臨戦態勢のような気持ちだった年末とはちょっと違って、
好きな歌を口ずさんでしまうような心の余裕があるのも、
メリハリのなかの緩んだ心地よさを感じられる時間です。
そんな時間が過ぎ、3月が近づいてくると、
徐々に卒業、送別、ブライダルと、イベントのご予約が増えてきて、
もう来週くらいからは、今より緊張感のある毎日になりそうです。
そんな毎日になる前に、コラムを書いてみようと思います。
今日のコラムは、今まで開催していたレッスン、
「ブーケロン 花の彩りのビジュー Part2」について。
昨年開催して好評だった、
宝石をモチーフにしたブーケの第二弾。
今年もちょっとマニアックな宝石達をお花で作ってみることにしました。
ビジューがテーマのこのレッスンでは、
お花の自然味よりもその色や質感に着目して花選びをして束ねていくことになります。
そんな中では、普段ナチュラルなブーケを束ねる時は目に留まらない染めの花の美しさに気付くことができるのでした。
昨年同様、この時期にビジューなブーケを開催するのも、実はこの染めのお花に期待してのことで、カラフルで神秘的な宝石の色の表現には欠かせない花材だと思っています。
お花を染めるという行為には少し背徳的な香りも漂いますが、自分はその美しさを目にした時の束ねてみたい衝動は抑えることが出来ず、表現を広げてくれる花材として喜んで使っています。
目指す形はしっかり形の丸いブーケロン。
本来、宝石は真ん丸で凸凹がないのですが、ブーケには少しの凹凸を付けてあげることで、重なりによる色彩表現が加わり、宝石の妖艶に揺らぐような輝きの印象が表現できるように思っています。
丸い印象を壊さないような小さな凹凸を全体にバランスよく散りばめて、お花を、ブーケを宝石に仕立てていきます。
その過程では、泣きながらスイトピーの下のほうのお花をカットしたり、もっと泣きながら色彩上似合わない蕾や葉はどんどん外していくことになります。
レッスンに参加した皆様も、この過程では「お花ちゃんごめーん!」と思っていたことかと思います。
スイトピーなどは、「1輪50円だよ―!!」なんて、価格の割り算をして余計なご案内をしてしまったために、みなさん「お花ちゃんごめーん!」+「もったいなーい!!」という気持ちになっていまい、いよいよ外せないという。
そこを、高級な宝石に仕上げる為!とどしどしお花も蕾も外すことを強いる鬼講師となって、みんなに強要してしまうのでした。
こんな、反ナチュラルなお掃除も、(主には)無機物である宝石を目指すため。テーマに合わせて、お花のお掃除も変わってきます。
ただ、外したお花はブーケにはできなくても他のちいさな花器に入れてお楽しみいただけるし、ブーケの中に入ることだけがお花の幸せじゃないよーと思います。
花の切り分けがなかなか思い切ってできない方はぜひ、残ったお花で作品作りをしてみることをお勧めします。
そうしているうちに、お花や枝葉をどんどん外したとしても、ブーケとは別の作品用の花材が手に入ったと思うことができて、「かわいそう」も「もったいない」もなくなるのではないかなと思っています。
そんな努力を積み重ねて出来たのが、5つの宝石達。
最初の宝石はインペリアルトパーズ。
トパーズの中でも高級とされる、天然の状態でシェリー酒のようなピンク~褐色~オレンジのグラデーションを持つ宝石です。
続いては、ラブラドライト。
こちらは宝石というより天然石というニュアンス。
青~琥珀色の光はラブラドレッセンスと言われていて、自分も1つ石を持っているのですが、角度を変えるたびに違う色が見える神秘的な様子にうっとりできる石です。
こちらでは、コバルト、ネイビー、ブラウンに染められたチューリップが大活躍。
3つめはローズクォーツ。
グレイッシュピンクのカボション仕立ての優しいしっとりした輝きを表現するのに、やはりニュアンスカラーに染められたスイトピーが大活躍。また、少し深みを出すのにパープル味へのグラデーションを作ってみましたが、そこではライラック色に染められたチューリップもアクセントになりました。
4つめはアメトリン。
実は昨年の1回目から、テーマにしたかった宝石。
アメジストとシトリンの両方の個性を持つ、パープル~イエローに輝く宝石を表現してみました。こちらは、宝石の特徴に則って、色をセパレートして束ねるのがポイントになりました。
最後の宝石はスフェーン。
グリーン~イエローの宝石ですが、特徴はダイヤモンドよりも強い輝きと言われています。その輝きは褐色~赤に見える時もあって、色選びには輝き色をいろいろ入れて表現してみました。
こうしてできた5つのビジューなブーケロン。
総じて言えるのは、このテーマだからこそ出来たお花のチョイス、色合わせがあることです。
特に、スフェーンでは、普段はあまり使わないグリーンをベースに色合わせをスタートして、組み上げるまでちょっとの不安もあったのですが、最終的にとても気に入ったブーケになりました。
宝石が導いてくれる普段とは違う花選びと束ね方。
その魅力に自分も虜になっているし、参加した皆様も「ぜひ、来年も!」ということですので、
これからの1年もまた宝石のキラキラにもアンテナをはって、来年また楽しいご提案ができるといいなーと思います。