2023.05.30
今年も 2つのシャクヤクのブーケ
こんにちは!jardin nostalgiqueの青江です。
6月も中旬に差し掛かり、
梅雨ばかりはしっかりと時期を合わせて、ばっちりやってきましたね。
ここ最近は仕入れの日、まさに仕入れの時間に雨の日が多く、
お花を運ぶのにも一苦労。
いつもは仕入れたお花を全部台車に積んで、
屋根のない外を台車を引いて、一気に車まで運ぶのですが、
雨だとそうもいかないので、ちょこちょこ車に運びます。
時に手押しの小さな台車で、時に肩に担いだり抱えて。
運動量が増えて、体には良いのでしょうけど、朝の疲労感が強いのは梅雨の雨故です。
そんな雨に負けず、今年もこの季節を華やかに彩ってくれたのはシャクヤク。
例年よりも早く、4月中旬くらいから出荷があったので、
「もしかしたら今年は出荷が終わるのも早いのかも!?」との
心配がありましたが、
しっかり今まで出荷があり、
この期間で2つのシャクヤクを使ったブーケレッスンを開催することができました。
シャクヤクは人気のお花故、
毎年2つのレッスンをご提案していて、
シャクヤクのいろいろな魅力をピックアップできたら、と思っています。
まず第一弾はシャクヤクのボリューム感、甘いイメージに
バラをプラスしてニュアンスを持たせた
「シャクヤクとバラのブーケ・甘やかなローズドラジェ」というテーマ。
シャクヤクもいろいろな種類がありますが、
グレイッシュだったりセピア調だったりというニュアンスのある品種は少ない気がします。
昨年、チャレンジ精神でシャクヤクを染めてニュアンスカラーを作ることにトライしてみましたが、
染めすぎて茶色になったりと大失敗を繰り返して早々に諦めました。
そこで、同じ時期に旬となるバラにニュアンスカラーを担当いただき、
ブーケ全体として、大人な印象もありつつ、甘さもあるようなブーケをご提案することにしました。
ローズドラジェとは、フランスの伝統色なのですが、
グレイッシュで淡い、パープル味を帯びたピンクです。
幸運の種と言われるフランスの伝統菓子、ドラジェのようにマットで甘い色。
そんな色彩をブーケで強調できるように、
お花の色を並べるように、やや平らに束ねてもらいました。
シャクヤクやバラなど、これから開くお花のために少しの凹凸を付けて。
グリーンは主にお花とはミックスすることなく、お花の外に配置して、
お花のみで作る色彩をお楽しみいただけるようなブーケです。
ぐるりとグリーンをお花の周りに配置すると、
まるでお花の部分が額装した絵画のように見えて、より一層色彩が強調されるように思います。
そして、第二弾として開催したのは、
昨年からずっとイメージしていて開催したかったテーマ「シノワズリ」。
オリエンタルで優美なシャクヤクの魅力を引き出したブーケをご提案しました。
「シノワズリ」は、フランス語で「中国の」という意味の「chinos(シノワ)」に、
「~の店、場所、芸術、状態」などを意味する接尾語「erie」がついて出来た、中国趣味を意味する言葉。
ただ、シノワズリは中国の芸術そのものを挿すのではなく、
西洋における東洋文化の模倣であり、西洋と東洋の融合と言える点が面白みです。
シルクロード、大航海時代の航海など、
時代により様々なルートから、物や思想の行き来があった東洋と西洋において、
目新しい東方の文化に西洋諸国が憧れを抱くのは当然で、
ヨーロッパの技法、解釈で模倣して作ったというのがシノワズリの原点のようです。
そんな中、フランスでロココ様式が宮殿建築やインテリアにおいて流行した18世紀、
シノワズリはロココ様式と融合することで、フランスで爆発的にブームとなりました。
このような背景を持つシノワズリ。
中国の芸術でよく描かれる花鳥、
山水(風景)をモチーフにしたものも多く、
花の中では中国の国花とも言われるボタンがよく描かれます。
ボタンの切り花の流通は少ないため、
シャクヤクを用いて、シノワズリの
テキスタイルやインテリアのデザインに見られるようなゆったりとした
フォルムのブーケをご提案しました。
色彩はロココ様式の華やかかつ甘い色彩をベースに、
鮮やかな色彩を交えて、オリエンタルなイメージでご用意しました。
東方のイメージがあるお花と西洋のお花をごちゃまぜにしてみたり、
ちょっとおもしろい形のお花に、
ヨーロッパの人々が東方文化を見た時に持ったせあろう神秘的な気分を託したり。
花集めも楽しく。
色も、花合わせも束ね方も全く違う2つのシャクヤクをテーマにしたブーケ。
こんないろいろな表現ができることからも、
シャクヤクが様々な魅力を持ったお花であることに気づかされます。
こうして今年もシャクヤクのシーズンは徐々に終わりを迎えつつありますが、
まだもう少し市場では見つけられそうな気配なので、
良い状態のものがある限り仕入れて、この季節を楽しみたいなと思います。
これからしばらくは梅雨が続きますが、
どんよりしたお天気の中でこそ、
道端やお花屋さんのお花に明るさをもらって
一日に彩りを添えて、元気にお過ごしくださいね!
これからのレッスンではこんな梅雨だからこそ表現したくなるような
しっとりとしたブーケをご提案する予定です。
またこちらのコラムでもご紹介できればと思いますので、どうぞよろしくお願いします!