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2024.02.14

4つの絵画をモチーフに。春meetsアート!

こんにちは!jardin nostalgiqueの青江です!

2月になり、寒さも本格的になる日もあったかと思えば、

今週は一気に20度近くなる予報。

気温の上昇とともに開花までのスピードがアップする春のお花の日持ちが心配になるのは花屋としての気持ち。春のお花はどう思っているのかなー。喜んでいるかもしれないですね。


今日のコラムでは、2024年最初のレッスン

「春meetsアート!絵画の色彩のブーケ」というテーマでご提案したブーケをご紹介します。


大好きな花を仕事にした結果、あまり趣味がないなーと思う自分ですが、

最近は改めて、絵画を見ること、画家を知ることが好きだなーと思うことが多く、

ようやく、美術鑑賞を趣味と言ってもいいのでは!?という気持ちになっているのもあり、

自分が今まで見たアートの中から、好きな絵画をピックアップして

皆様にご紹介しつつ、ブーケで表現しよう!という企画です。


過去にもレッスンテーマにおいて、

ルノワールやゴーギャン、ハマスホイなど、多くの画家、絵画をテーマにさせていただきましたが、

今回は市場での花との出会いから連想できた絵画を表現するという形で開催したため、

自分もご参加いただいた皆様も、どんな絵画がテーマか、どんなブーケかは来てみてのお楽しみ。2週間、計4回の仕入れの度に違う画家をテーマとしてご提案しました。


春のお花は色数が多いだけではなく、
1つの花の中にたくさんの色をもつ複色(バイカラー)のものや
花びらの個性的な形やひらひらふわふわした質感色むらなどに個性を持つお花が多く、
絵画における細かい筆触や色のグラデーションのような表現を1輪の中に見つけることができます。


他の季節よりも春のお花で絵画の色彩を表現をしたくなるのは、春のお花が1輪でアートしているからでしょうか。

画家が絵の具をキャンバスに並べて1つの絵画を描いたように、ブーケの中にたくさんの花を並べて絵を描くように花を束ねます。


束ねる時に気を付けたことは、お花1つ1つの個性を引き立てるより、
すべてのお花を協調させて1つのブーケとしての美しさを表現すること。

そのために、あまり大きな凹凸は作らず、特定のお花の個性が強くなりすぎないようにしてみました。

ただ、絵画においても色を重ねて表現することがあるように、
花を並べるだけではなく、軽い凹凸を全体に散りばめて、花と花、色と色をつなぐように束ねていきます。


最初に選んだ画家はルノワール。

その中でも、自分の中でとても印象に残っている絵画、「ピアノに寄る少女たち」をイメージして色を集めてみました。

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ルノワールの同タイトルの絵画は6点あるそうで、オルセーにも、オランジュリーにも所蔵されているようです。

何度も行った美術館のどちらでも見ていたから、自分が記憶に深くとどめて印象深かったのかもしれません(どちらにもあることには今まで気付いていなかったのですが)。

この絵画の雰囲気はルノワールの人への興味や優しさを感じるようで大好きです。

ローズドルノワールというフランスの伝統色にもなっており暖かなピンク、陰の表現に多用されるブルーを明るい色調でまとめています。

 

2番目に選んだのはギュスターブ モロー。

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こちらも自分が大好きな画家です。パリのモロー美術館には何度も足を運んで、みんなにおすすめしています。

象徴主義と言われる作風は、神話や聖書の一節をモチーフに描きつつ、その中に様々な人の感情を表現しています。

自分はそこまで深く、全部を理解できるほどの観察眼は無いのですが、とにかくモローの絵には吸い込まれるような不思議な魅力とともに、圧倒されるような神秘的な力を感じます。

その中から、数年前に日本の展示会で見ることができた「一角獣」という絵画から色を拾ってみました。色だけでなく、少し怪しげな存在感や、一角獣の角のようなラケナリアなど、ちょっと「お花象徴主義」とも言えるような、何か連想するような花を交えてモローぶりました。

3番目に選んだのは、ラウル デュフィ。

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こちらも日本の展示会で見て好きな画家なのですが、実はその前にパリで見にいった「電気の精」という巨大な絵画が、なんとその時は会場の修復かなにかで見れなかったという悲しい思い出もあり、いつか電気の精を生で見たい!と思う夢も込めての表現でした。

今回は「30年、あるいはバラ色の人生」というタイトルの絵画を主にイメージしつつ、実際見ることができた他の絵画のイメージを勝手にミックスして、華やかなピンクとイエローという、強烈な色彩でまとめてみました。

デュフィの絵画に見られるあふれる多幸感や光感、輪郭から飛び出るような色彩を想像していると、ブーケも他の3作品より凹凸が大きくなりました。


最後の作品は、やはり大好きなオディロン ルドン。

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要するに、みんな大好きな画家ばかり!

ルドンについても思い出深く、コロナの流行でそれ以降中止せざるを得なかったレッスンのテーマがまさに、ルドンの描いた「グランブーケ」だったのでした。

そのリベンジ!ではないのですが、この4回のチャンスの中のどこかでルドンの絵画をテーマにしたいという気持ちが無かったといえば嘘になります。

ちょっと決め打ち的でごめんなさい!でしたが、

ルドンの絵画はどれも魅力的で、色彩表現も多様なので、どの絵画にしようかなーなんて思っていたのですが、その中で「オルフェウス」という絵画を選んで色を拾っていきました。

やはり、少しの花象徴主義という気持ちで、ルドンの絵画のどこか不思議な雰囲気を表現するべく、変わり咲きのラナンキュラスなどを交えてみました。


こうして自分の「好き」がたくさん詰まった、

なんとも自分にとって贅沢なレッスンとなってしまいましたが、

皆様にも共有いただけていたらいいな、と思います。


毎回、会場のお花を見ていただいて、

「今日の画家は誰だ!?」クイズ(正解者にはスイトピー!)を開催させていただきましたが、

ややマニアックなチョイスになってしまったため、自分もヒントを連発し、みなさんは携帯で検索する、というのが毎回恒例となったのでした。

あー、楽しかったな。


今回もすべてのテーマにおいてお世話になり、個性を発揮したのが染められた花達。

ナチュラルかというと、「?」というお花も、アート的な視点で見るとその美しさを発見できます。


絵画なブーケ。

自分にとって、お花の新しい見え方、配色の試みができるとても大切なテーマです。

またぜひ、秋か来年か、開催できたらいいなーと思うので、

ぜひご興味のある方はご一緒できたら幸いです。